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CDP、Salesforce Marketing Cloudについて書いてます。

データとUXの関係性

皆さんこんにちは。Legoliss加藤です。

このブログでは多くの企業のお手伝いをさせていただく中で、データとカーケティングと技術という側面で皆様のヒントになるようなテーマでお話ししております。

本日は「データとUXの関係性」というテーマでお伝えします。

データとUX(ユーザ体験)の関係性について、ビジネスにおけるUXの必要性とデータの役割について紐解いていきたいと思います。

まず、皆さんは「データを活用する」ということについてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
生活者のデータをビジネスに活用するということは会員や販売などのデータからユーザの行動を予測したり、過去の売り上げなどからビジネスの意思決定を行うことになります。
その際に重要なのはこれまでの結果を正確に可視化したり、予測値の精度が高いということになりますが、それだけではビジネスとして中長期でデータを活用できているという状態とは言えません。あくまで過去の事象を別の形で表現しただけだからです。

常に新規の生活者に入れ替わっていくわけではなく、一度接点を持った生活者は商品やサービス・企業自体と関係性を持ち続けることになります。そのような企業と生活者の接点での体験は「蓄積」され、別の形で購買行動や企業価値へつながっていきます。そのためその場限りの関係ではなく、中長期でコミュニケーションをとって「繋がり」(エンゲージメント)が生まれるからこそLTVなどに大きく影響することを前提にマーケティングを設計する必要が出てきます。
データを活用するということは生活者ごとの繋がりの解像度を上げ、継続的にアプローチを取るための武器になります。

■ビジネスでのUXの重要性

ではビジネスにおけるUX(ユーザ体験)の重要性はどのようなものでしょうか?

「UX」は製品やサービスを通じて得られる体験全てを指し、生活者が体験を得るポイントは製品やサービスそのものの価値だけではなく、それが届く仕組みやプロセス、タイミング、デバイス、決済、さらにはその企業が持つイメージや広告プロモーションなど多岐に渡っています。

商品やサービスの価値が飽和し、差別化が難しくなってきている現在、生活者もその価値だけではなくストーリーや体験価値を重要視しています。
つまりより「自分にとって心地良い体験」が伴う商品・サービスを選ぶことになり、企業はUXを意識したマーケティングを継続的に生活者に届ける必要が出てきています。

■なぜUXにデータが必要なのか

UXはその性質上、生活者の「感覚」に対して丁寧にアプローチをしていく必要があります。それぞれの生活者が受け取る感情や印象は、そのタイミングや状況によって異なりますが、その一つ一つを最適化しながら再現性高く多くの生活者に対応していく必要があります。

多くのタッチポイントがある場合、個別最適かつ経験則での改善が多くなりがちですが、それではスケーラビリティを担保することができません。
ウェブサイトでのユーザの動線や各種販売データ、広告プロモーションや各種施策の定量的な評価、アンケートの情報などのデータを活用し、仕組みを作ることでユーザ体験を一人ひとりに合わせて構築し、再現性高く実行していくことが重要になります。

例えばアパレルの店舗での接客でとある顧客が欲しいものを提案していくことは、ベテランの販売員であればあまり難しいことではないかもしれません。おそらくその顧客との会話や仕草を通じて誰かへのプレゼントなのか、自分へのご褒美なのか、普段の着こなしと合わせられるか、似合う髪型を話したりなどその顧客が服の価値以上の情報や接客を受け取ることで購入を決めることになります。ではECサイトなどではどうでしょうか?レコメンデーションこそかなり普及していますが、そのユーザの趣味趣向に合わせた提案や、プレゼントの場合のラッピングオプションの分かりやすさ、返品交換に関する情報などユーザがそこで購入に至るまでに意思決定に使う情報はたくさんあります。そこでデータを使い、どのような傾向で購入意識を固めたのか、どういう意思で見送ったのかなど、個別最適しながらも全体で再現性高い仕組みにできるということがデータとUXの強みになります。

■UXを高めることで生まれるデータの価値

更にUXを中心に考えることでデータの価値はどのように変化していくのか考えてみます。

・より具体的な合意が取れた生活者データ活用の推進

ユーザ体験がしっかりしていることは生活者にとってその企業や商品・サービスが「信頼できる」ということにつながります。昨今ではプライバシー関連の規制が増え、企業が生活者のデータを利用するにあたり個別の合意を取得して利用することが一般的です。UXを通じて信頼できるサービス・企業ということが伝わっていれば、それだけデータ利用に対する目線が生活者と企業で合わせやすくなっていき、マーケティングでの活用の幅が広がっていきます。

・「データが行動を変える」ためのアクションを推進

データが変える「ユーザ体験」は社外(生活者)だけではありません。データを利用して施策・アクションを継続的に打っていくためには社内でのデータの理解、実行できるリソースが重要になってきます。分析結果を出すだけではなく、誰がどうやって動けばいいか、更にそれが加速するUXはどうあるべきかという議論が進むことで、よりデータの民主化(社内での認知度や利用率向上)につながります。

 

■まとめ

UXとデータについてはまだまだ連携の幅が狭い分野ではありますが、今後定量的にUXが評価されたり、データでの解釈や組織でのデータドリブンな組織構築にUXが重要になってくるなどより近い領域で融合が行われていくと思います。プロジェクトを進める上でもUXを意識した構築を議論してはいかがでしょうか。

 

<このブログの執筆者>
株式会社Legoliss
データアーキテクト 加藤英也